フォーティエンスコンサルティング、人的資本経営に関する調査レポート「TOPIX 100にみる人的資本経営の現在地」を発表

~分析対象82社の92.7%が、開示上「経営戦略と必要人材の連動」に課題~

2026.11.04

フォーティエンスコンサルティング株式会社

NTTデータグループのフォーティエンスコンサルティング株式会社(旧社名:株式会社クニエ、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山口 重樹、以下フォーティエンス)は、TOPIX 100構成銘柄のうち2026年3月期決算の82社を対象に、開示制度改正後初となる有価証券報告書の人的資本開示を、独自の4段階移行モデルと8つの判定基準で分析した調査レポート「TOPIX 100にみる人的資本経営の現在地」を発表します。
本調査では、人事施策と基本的な人事指標の開示を全82社で確認できました。一方、重点事業の実現になぜその職種・スキルを持つ人材が必要なのかを示し、その確保・育成方針まで一貫して説明する開示を確認できたのは、本調査の基準では6社(7.3%)にとどまりました。開示に充てられる経営資源を比較的多く有する大企業においても、残る76社(92.7%)は、このつながりを確認する要件を満たしていませんでした。
本レポートでは、経営戦略と必要人材の関係を説明するうえで課題のある開示を3つのパターンに整理しています。また、分析結果を踏まえ、事業に必要な人材の具体化から採用・育成・配置の計画づくり、人材の確保状況に応じた事業計画や投資配分の見直しまで、企業が自社の取り組みを点検・改善するためのポイントを解説しています。

背景

企業の競争優位の源泉が無形資産へ移行するなか、人的資本への投資は、将来の成長力や持続可能性を左右する重要な経営課題となっています。経営戦略と必要人材の関係が不明確なままでは、投資家が戦略の実現可能性を判断しにくくなります。
2026年2月の開示制度改正では、2026年3月31日以後に終了する事業年度から、有価証券報告書において、経営方針・経営戦略などと関連付けた人材戦略と、それを踏まえた従業員の給与その他の給付の決定方針を具体的に記載することが求められました。2026年3月期決算の企業にとっては、今回の有価証券報告書が改正後初の開示となります。「どの経営戦略を実現するために、なぜその人材と施策が必要なのか」を説明することが、これまで以上に重要になっています。

調査概要

調査対象:2025年10月31日時点のTOPIX 100構成銘柄のうち、2026年3月期決算の82社(非3月決算の18社は対象外)
対象資料:各社の有価証券報告書本文(2026年7月5日までに提出を確認)。統合報告書やWebサイトなどの外部資料は判定対象外
分析方法:独自の4段階移行モデルと8つの判定基準により、開示から確認できる到達段階を判定。生成AIによる一次判定後、判断が分かれやすい事例は人が確認し、30社分は有価証券報告書原文と抜き取り照合
留意事項:本調査は開示内容の分析であり、企業の順位付けや人事機能全体の成熟度を評価するものではありません。記載がないことをもって、該当する取り組みが行われていないと判断するものではありません。

段階開示から確認する主な内容到達段階別の社数(構成比)
A
人事施策の運用
企業固有の人事施策と、基本的な人事指標の実績が記載されている。76社(92.7%)
B
経営戦略と人材要件の連動
重点事業に必要な人材と、その人材が必要となる理由、確保・育成方針が示されている。5社(6.1%)
C
人材要件を満たす人材戦略の策定
必要人材の人数または比率と、確保・育成施策の実施状況を示す進捗指標が記載されている。1社(1.2%)
D
人的資本情報に基づく経営判断
人的資本情報に基づく経営判断の実施と、特定の人的資本投資が事業成果につながる道筋が示されている。0社(0.0%)
表1:4段階移行モデルと開示から確認できた到達段階(n=82)

※上位段階への到達には下位段階の要件も必要です。Dの2基準はCに到達した1社のみを評価し、残る81社は未評価です。Dが0社という結果は、全社で経営判断への活用がないことを意味しません。また、企業間の優劣を評価するものではありません。

出典:フォーティエンスコンサルティング作成。構成比は小数第2位を四捨五入。

主な調査結果(抜粋)

1.重点事業を特定する企業は6割、必要人材を特定する企業は4分の1

要件別にみると、重点事業や成長領域の特定は51社(62.2%)、必要人材の特定は20社(24.4%)、両者を結ぶ理由の明記は11社(13.4%)で確認されました。これら3要件をすべて満たした企業は6社(7.3%)にとどまりました。
多くの企業で、重点事業の実現に必要な人材を具体化した説明を、開示から確認できませんでした。段階Aにとどまった76社には、次のような典型的な開示パターンが見られました。

  • 汎用人材型:「専門人材」などの呼称にとどまり、担当領域や職種、必要なスキルが特定できない。
  • 全社員対象型:全社員に共通する行動様式や資質が示され、重点事業を担う人材が特定できない。
  • 宣言どまり型:「事業拡大には人材育成が不可欠」といった表現にとどまり、なぜその人材が必要なのかが説明されていない。

※各パターンは相互に排他的な分類ではなく、複数に該当する場合があります。

2.必要人材の数量を開示した8社のうち6社も段階Aにとどまる

必要人材の人数または比率を開示した8社のうち6社は、その人材が経営戦略からどのように導かれるかを示しておらず、段階Aにとどまりました。これらの企業の開示に不足しているのは指標の追加ではなく、すでに開示している人材を経営戦略から導く説明です。

調査結果を踏まえたフォーティエンスの提言

重点事業を一つ選び、必要な人材と確保・育成方針を具体化する

必要人材の人数・比率を開示するだけでは、その人材が事業の実現にどう関わるのかまでは伝わりません。まずは重点事業を一つ選び、事業部門と人事部門で「事業で何を実現するのか」「そのために、どのような役割・職種・スキルを持つ人材が必要か」「その人材をどのように確保・育成するのか」を一続きで説明できるか確認することが重要です。説明が途切れる箇所については、社内での検討が不足しているのか、既存の検討結果が開示に反映されていないのかを切り分けます。そのうえで、必要人材の目標人数と現状人数の差、その解消時期、確保・育成施策の進捗を把握し、人材への投資の優先順位や、事業計画・投資配分の見直しを検討する判断材料として活用することが重要です。

経営戦略から必要人材・施策・指標までを一覧表で整理する

段階Cに到達した1社では、経営戦略ごとに人事戦略、主な人事施策、進捗を示す指標を一覧表で整理した開示が確認されました。これにより、重点事業にどのような人材が必要で、その確保・育成にどの施策が対応し、何を指標として進捗を確認するのかを伝えやすくなります。単に項目を並べるだけでなく、それぞれの関係性を明示することで、自社の成長戦略を支える人材への取り組みや、その進捗・課題について、投資家と具体的に対話する土台となります。

本レポートについて

レポート名:TOPIX 100にみる人的資本経営の現在地
公開日:2026年11月4日
掲載先:https://www.fortience.com/insight/research-report/2026102100/ 

レポートの構成

•          第1章 調査の背景と目的
•          第2章 評価の枠組みと分析方法
•          第3章 TOPIX 100にみる人的資本経営の現在地
•          第4章 各段階で停滞する要因と、移行点の越え方
•          第5章 開示診断から始める人的資本経営の推進
(全33ページ)

今後について

フォーティエンスは、本調査で得た知見と独自の4段階移行モデルを活用し、各社の実態と開示内容の診断から、人材要件・人材ポートフォリオの策定、要員計画・人事制度・人的資本指標の設計、人的資本情報の一元化と経営判断への活用まで、企業の人的資本経営を支援していきます。

フォーティエンスコンサルティングの組織・人材領域での取り組み

企業を取り巻く組織・人材の課題は、事業環境・社会構造の変化とも相まって、かつてないほど複雑化しています。フォーティエンスコンサルティングの組織・人材ソリューションは「組織の戦略実行力を強化することで、事業を成長させる」ことをミッションに、組織・人材戦略のデザインから業務設計、ITインフラの構築までをシームレスに実行することで企業の組織・人材の課題を解決します。
https://www.fortience.com/solutions/transforming-organization-and-talent/

【本件に関するお問い合わせ先】

■報道関係からのお問い合わせ先
フォーティエンスコンサルティング株式会社
広報担当 甘田(かんだ)
E-mail:pr-info@fortience.com

■本レポートに関するお問い合わせ先
フォーティエンスコンサルティング株式会社
組織・人材変革担当
藤井、新井、林
Tel:03-3517-2292(代表)
E-mail:
fujiiy@fortience.com(藤井)
arais@fortience.com(新井)
hayashims@fortience.com(林)

ニュースリリースについて

ニュースリリースに掲載されている、サービス内容、仕様、お問い合わせ先、その他の情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更となる場合があります。また、ニュースリリースにおける計画、目標などはさまざまなリスクおよび不確実な事実により、実際の結果が予測と異なる場合もあります。あらかじめご了承ください。なお、ニュースリリースを含む本サイトの利用につきましては、ウェブサイトプライバシーポリシーもご確認ください。