サプライヤーマネジメントの進化
~「サプライヤーマネジメント」から「戦略的サプライヤーマネジメント」へ、そして「バーチカルチェーンマネジメント」へ~
マーケティングは顧客とのあらゆる接点を設計する活動であり、営業戦略全体の起点に位置づけられます。そのプロセスを高度化・効率化することは、商談創出の質を高め、結果として企業の利益の向上に直結します。一方で、効果的なシナリオを構成しようとすると、扱う情報量は増大し、人手による運用には限界があります。
こうした背景から、メール配信などマーケティングシナリオ実行を自動化する基盤として各社のMAツール(Salesforce社のMarketing Cloud Engagement、Adobe社のMarketo Engage、HubSpot社のMarketing Hubなど)が活用されるケースが多く見受けられます。
しかし、導入・運用にあたっては、
・MA導入自体が目的化してしまう
・必要なデータ基盤や連携が整っていない
・運用が回り切らず費用だけがかさんでいく
・KPI設計や効果検証が不十分
といったように、導入コストに見合うだけの成果が出ないことに帰結するような課題にぶつかることも少なくありません。
POINT 1
なぜこのような課題に多くの企業が直面するのでしょうか?
まずは企業の顧客接点全体の中で、MAがどのような役割を担うツールなのかを整理します。
MAはマーケティング活動のすべてを担うツールではなく、顧客接点の中でも特に検討・比較が進む局面を中心に、シナリオの実行と自動化を支えるツールです。
「興味・関心」から「比較・検討」、そして「商談」や「購入」に至る段階までのフェーズを主な対象としており、顧客の状態に応じたコミュニケーションを継続的に実行するための機能を備えています。
そのため、MAは単独で完結するものではありません。SFA、CRM、CDP、EC基盤など、周辺システムと密接に連携し、適切な運用を行うことで初めて効果を発揮します。
また、「オートメーション」「自動化」という言葉から、MAは人手を介さず運用できるイメージを持たれがちです。しかし、実際には多くの業務やシステムと連携する仕組みであるため、成果を出すには適切な設計や運用を担う人材の存在が欠かせません。
POINT 2
前段の通り、MAの役割は限定的なものであるにもかかわらず、実際のプロジェクトではこの役割理解について関係者間で十分な共通認識を持たないまま、導入検討や意思決定が進められてしまうケースが多く見られます。
特に構想策定段階においてMA導入の目的を定める際に、誤った役割理解に基づく導入方針や活用構想、導入目的などが形成されてしまうことは珍しくありません。その代表例が、「特定の部門のためだけのMA導入」を前提として構想が進められてしまうケースです。
MAはマーケティング活動全体の一部分のみを担う仕組みであるにもかかわらず、この理解が十分でないことや、縦割りの企業文化などを背景に、他部門を積極的に巻き込まないまま導入検討が進められることがあります。その結果、活用構想やシステム設計・業務設計は自部門内で完結し、部門横断での視点や調整が行われないまま具体化されていきます。
このような前提で導入を進めると、MAの活用においてもツールから取得しやすい「開封率」「クリック率」などの中間指標のみを成果指標として設定してしまう、あるいは本来目指すべき事業全体の成果よりも、部門単位での成果達成が優先されてしまいがちです。本来は、全社視点でのデータ統合や成果創出の構想が先にあり、それを実現するためにMAをどう位置づけ、どの指標で成果を測るのかを定めるべきです。しかし実際には、事業全体の成果よりも部門単位での成果達成が優先され、その実現手段としてMAが利用されてしまうケースも少なくありません。
その結果、MAは本来目指すべき全社的な顧客体験の向上や売上創出の仕組みとして機能せず、特定部門の業務効率化にとどまります。導入そのものは成功したように見えても、事業全体として期待した成果を生み出せない状態に陥ってしまうのです。
POINT 3
MA導入の理念を定めるのはもちろん重要です。一方で、実際の運用についての理解をおろそかにしたまま導入を進めてしまうと、運用フェーズに至ってはじめて
・想定していた運用を実際には回せない
・導入当初のシナリオのみを回し続け、既存施策の改修や新施策の追加ができない
といったことに気付くことが後を絶ちません。
こういった課題の根底にあるのは、MAに対する理解不足です。典型的なパターンとして、経営層や導入主管の部門長がMAを「導入すれば自動的に成果が出るツール」と捉えてしまっているケースが挙げられます。
その結果、導入によって得られるとされる効果ばかりに目が向き、コストやスケジュールを優先して導入が進められる一方で、どのような体制で誰が運用を担うのかといった実運用のイメージが曖昧なままプロジェクトが進行します。
そうすると、外部パートナーの活用範囲や内製化の考え方、人員配置や改善に必要な工数が十分に検討されないまま導入が完了し、運用フェーズに入ってはじめて人材や知見の不足に気づき、想定していた運用が回せない状況に陥りがちです。
また、導入当初に設計されたシナリオだけを回し続け、既存施策の改修や新たな施策の追加ができなくなるパターンもよく見られます。これについても、根本的な原因はMAに関する理解不足にあります。
MA導入では、ツールベンダーから紹介された導入パートナーに構築を委託すること自体は珍しくありません。しかし、MA運用に必要なスキルセットや知識移転の重要性を十分に理解しないまま、構築を丸投げに近い形で進めてしまうケースがあります。丸投げに近い形で進めてしまうと、シナリオやデータの設計理念が社内に共有されないまま運用フェーズを迎えてしまいます。
その結果、導入時に用意されたシナリオをマニュアル通りに動かすことはできても、その意図や前提を理解できず、施策の改善や拡張が行えない状態に陥ります。さらに、初期担当者が一定の理解を持っていた場合でも、ドキュメント不足や担当者変更により知見が引き継がれず、同様の状況を繰り返すケースも少なくありません。
MAは高い柔軟性と拡張性を持つ一方で、その価値は導入時ではなく運用を通じて発揮されます。そのため、運用体制や必要なスキル、人材育成のあり方を十分に検討しないまま導入すると、「導入しただけ」で活用が頭打ちになるリスクを抱えている点には注意が必要です。
POINT 4
これらの失敗パターンの回避を意識してプロジェクトを推進することで、MA導入は大きく失敗することなく、成果につなげることができます。
そのために最も重要なのが、「何のためにMAを使うのか」を導入前の段階で明確にすること。そのためには、構想策定フェーズを設け、十分な検討を行うことが不可欠です。
MA導入そのものを目的とせず、まずは経営層を初期段階から巻き込み、導入目的やKGIについて合意形成を行うことが重要です。そのうえで、具体的な活用構想やKPIを整理し、マーケティング部門に閉じない関係部門横断の取り組みとして進めていきます。
次に活用構想の実現に向けて、シナリオ構築や効果測定に必要なデータやシステム連携が現状で十分かを確認します。顧客データは複数部門に分散していることが多く、全体像を把握し調整できる推進役が重要です。不足があればデータ整備や追加連携の検討も行います。あわせて運用体制の検討も行います。社内メンバーの教育・トレーニング体制や、必要ならば外部リソース活用も含めた安定運用の構想を行うことが重要です。
これらの検討を進める中で早い段階で自社内に十分な知見や経験がない領域が明らかになることも少なくありません。「周辺システムとの役割分担と連携」「運用上のツールの使い方」などはその代表例です。検討の中でこうした気付きを得ることで当初の目的に立ち返り、自社内でできること・社外に依頼すべきことなどの整理を経て、結果として当初想定していたツールよりも機能面・コスト面などを考慮したより現実的な選択肢を導き出すことも十分にありえます。
MA導入で重要なのは、単にツールを選定・導入することではなく、構想策定の段階で目的・KGI・関係部門・データ・運用体制までを一貫して整理し、その後の導入・運用・内製化につながる土台をつくることです。