組織の未来をデザインする人的資本経営の力
Talent Management Review vol.3
近年、ESG経営や無形資産を重視する国際的な動きや国内の雇用関連制度改善の動きを受け、企業に人的資本経営の推進や人的資本に関する情報開示を求める動きが活発化しています。非常に良い傾向だと思われる一方で、懸念される事象も起きています。 本稿では、人的資本経営を組織の未来をデザインするための力とするべく、求められる姿勢や視点を紹介します。

人材価値を最大限引き出すための人的資本経営と対内外開示が日本企業に求められています。
経営・事業戦略と連動した人的資本経営方針策定と開示・データ整備の課題解決のため、人的資本経営・開示に係るコンサルティングサービスを戦略からITまで一気通貫で提供します。
現状分析・インタビュー、他社事例調査をはじめ、貴社の幅広い要件・要望に合わせた最適なソリューションを提供可能です。
POINT 1
「人的資本経営」とは、「人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方(経済産業省の定義)」です。
フォーティエンスでは、その定義をさらに要素分解して、人的資本経営=①人的資本への積極投資、②人的資本の情報整備、③人的資本の開示と考えています(図1参照)。
日本国内においては、海外の後を追う形で、
・コーポレートガバナンスコードの改訂(2021年)
・2023年3月期より有価証券報告書に人的資本情報の開示の義務化(2023年)
を契機に、③人的資本の開示が企業に求められるようになっています。
POINT 2
「人的資本情報やその開示に関して、社内でどのように議論されているか」の質問(図2参照)に対し、取締役会や経営会議で優先度高く議論されている割合は56.1%を占めていることから、人的資本情報やその開示が優先度の高いテーマになっていることが伺えます。
一方で、人的資本の“定量的な開示”という観点では、日本企業の対応は足踏み状態となっていることが日本経済新聞の調査(図3参照)からお分かりいただけると思います。
国内の人的資本開示の状況を総括すると、多くの企業において関心・優先度の高いテーマとなっているものの、人材投資の状況を定量的に開示することができていない状況と言えます。
POINT 3
このような状況において、企業が人的資本経営を成功させるためには、次の3つがポイントになります。
1. 経営・事業戦略実現のための組織人事戦略・施策に取り組む
2. 事業現場・管理部門関係者が一致団結して取り組む
3. 目的に即した運用に耐えるデータから整備・活用する
自社の目指す姿としての経営・事業戦略を、事業現場や管理部門の生々しい課題・日々の業務と共に理解することが重要です。
社内ですれ違う経営者・従業員が今取り組んでいる仕事や抱えている課題が何か、それを解決するために組織人事の観点で何が必要かを深く考えることになります。
そのためには、人事部門だけでなく、事業現場や経営管理・広報・総務部門をはじめとした人的資本経営・開示に係る関係者を巻き込み、人的資本経営の課題や役割と共に組織人事戦略・施策の検討が必要です。
そして、人的資本経営状況を検証し、課題解決に寄与するデータ整備・活用としては、できるところから少しずつ、現場のデータ登録からはじめていくことが成功の秘訣となります。
POINT 4
フォーティエンスでは、豊富なコンサルティング実績を基に、経営・事業戦略から人的資本経営としてのストーリー立案、そのために必要なデータ整備・活用まで一気通貫で支援しています。
[図2]株式会社パーソル総合研究所(2022), “人的資本情報開示に関する実態調査 調査報告書”, https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/human-capital.html ,(参照日:2024年1月19日)
[図3]日本経済新聞社(2023), “「人への投資」5割が開示、多様性の指標は公表進む 人的資本の有報記載義務、多様性はNTTなど9割超 日経調査”, https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC16AVN0W3A510C2000000/,(参照日:2024年1月19日)
Talent Management Review vol.3
近年、ESG経営や無形資産を重視する国際的な動きや国内の雇用関連制度改善の動きを受け、企業に人的資本経営の推進や人的資本に関する情報開示を求める動きが活発化しています。非常に良い傾向だと思われる一方で、懸念される事象も起きています。 本稿では、人的資本経営を組織の未来をデザインするための力とするべく、求められる姿勢や視点を紹介します。
Talent Management Review vol.2
タレントマネジメントとは、「会社として人材管理機能全体(採用〜代謝)のレベルを事業に同期させて、向上させる取り組み」と整理できます。 この考えのもと、多くの企業でタレントマネジメントシステムの導入が進む一方、十分に活用しきれていない企業が多いのが現状です。 本書では、タレントマネジメントシステムの活用がうまくいかなくなる理由とその解決策を紹介します。
組織変革に向けたスキル可視化とチェンジマネジメントの最前線
第14回 人材マネジメント研究会
人事システム導入プロジェクトはDX人材育成の好機
ジョブ型を取り入れる前に考えておきたいこと
後期・単身高齢者の増加に対応する新たな社会システムの構築に向けて
“運用”に潜む落とし穴を回避し、制度を成功させるための対応とは
【第2回】人事業務をエコシステム化した際の落とし穴を回避するには
【第1回】人事業務の変遷とエコシステムという選択肢
「接続性」「透明性」「柔軟性」から見るコミュニケーション変革設計とは
米国証券取引委員会のルール改訂は他人事か
人事PMIの全体像と基幹人事制度統合の進め方
【第3回】女性活躍推進を成功させる“意識改革・チェンジマネジメント”
【第2回】ワーキングママ・パパの活躍を支える施策
急速に変化する環境に対し、俊敏に適応するアジャイル組織のケイパビリティ
【第4回】高卒採用のトレンド変化と採用活動の変革
【第3回】新卒採用者離職防止に必要な真のエンゲージメント向上施策
【第2回】Z世代にアプローチする採用チャネル活用術
【第1回】FTEからの脱却、要員計画で必要な視点
【第3回】人的資本の情報活用が紡ぎだす経営の“未来”
Talent Management Review vol.3
【第2回】未来につながる人的資本開示の“仕組みづくり”
【第1回】人的資本の情報整備と、開示への1stステップ
【第1回】女性活躍推進の基本的なステップ
【第2回】そのKPIは信頼できるか?人材データの健全性とその効用
【第1回】“やらされ”開示対応にせず実業務に生かすためのKPI設定
Talent Management Review vol.2
【後編】メタバース導入がタレントマネジメントに与える影響
【前編】メタバース導入がビジネス活動と社員向けサービスに与える影響
人的資本の情報開示およびISO30414の概要を理解する
ダイバーシティ推進の課題と人事の役割