4章. AI導入における方法論
AIを活用した創薬研究プロセスの加速化
AI導入を成功に導くためには、進め方における「やるべきこと」「避けるべきこと」を明確にすることが重要です。 現状の課題を解決しながら、競争優位性の獲得を目指した、データやデジタル技術を活用した施策について解説します。また、研究者向けのAI学習方法とその効果についても紹介します。

POINT 1
OpenAIが正式にChatGPTをローンチした2022年以降、第4次AIブームが到来しており、ヘルスケア領域においても生成AIの可能性には高い期待が寄せられている。この潮流を掴み、ヘルスケア領域を対象とした新規の生成AIビジネスの開発・展開を検討している大手IT企業において、優先的に投資すべき生成AIビジネスの選定と、そのビジネスを促進するためのヘルスケア領域に特化した生成AIモデルの開発が課題となっていた。
そこで、当社はヘルスケア業界に関わる様々なステークホルダーの市場環境やニーズに関する知見、複雑に絡み合う規制や倫理的論点への理解、生成AI技術とその国際的な動向に関する知識、新規ビジネス立ち上げのノウハウ等を融合させたコンサルテーションを提供し、クライアントとともにヘルスケア領域における新規生成AIビジネス検討を推進するプロジェクトを開始した。
POINT 2
1. 技術観点とビジネス観点の双方向での議論を通した強みの再定義
クライアントの技術チームとビジネスチームが協議する場を設け、保有している生成AI技術の特徴とその技術的課題、既存のビジネスネットワークで期待されている生成AI活用方法とその実装課題等についての議論を当社がファシリテーションし、両チームのディスカッションを深めるとともに、クライアントの強みの再定義を行った。
2. ヘルスケア領域における生成AIビジネスの環境分析
生成AIビジネスに取り組んでいる国内外の他の大手IT企業に加え、生成AI開発を手掛けているフロンティア企業や研究開発機関の調査を行った。100件以上の文献からヘルスケア領域に特化した生成AIモデルの開発手法、適応タスク、性能について分析し、各社の動向調査の結果と合わせてヘルスケア領域における生成AIビジネスの環境分析を行った。
3. ヘルスケア領域における生成AIビジネスの抽出と評価
前述の協議や環境分析を反映しつつクライアントのビジネスチームとともにヘルスケア領域における生成AIビジネス案を多数抽出し、当社の知見を活用しながら、当該企業の保有技術や既存ビジネスとの親和性や競合優位性、市場性や収益性、技術的・法的な実現可能性の観点でこれらのビジネス案を評価し、優先的に投資するビジネス案の選定を支援した。その上で、優先度の高い生成AIビジネスを今後展開していくために必要なヘルスケア領域に特化した生成AIモデルの開発スキームを整理した。
4. ヘルスケア領域における生成AIモデルの開発促進支援
ヘルスケア領域に特化した生成AIモデルの開発を加速させるために有用なヘルスケア領域のコンテンツを整理し、弊社のリレーションも活用しながら必要に応じてコンテンツ提供者との交渉の支援を行った。交渉に際しては、国内の著作権法等の現状把握や同様の法律に関連した海外の動向を調査し、大手IT企業としてクライアントが取るべきスタンスを提案した。
上記支援を通して、ヘルスケア領域を対象とした生成AIビジネスを社会実装するための実証実験が開始されたとともに、クライアントとコンテンツ提供者との協業が具体化されつつある。ヘルスケアと生成AIの融合は、高い社会的意義と事業性を兼ね備えた挑戦であり、当社はその実現に向け、引き続き着実な支援を行う方針である。
POINT 3
ヘルスケア領域を対象に生成AIを利用したビジネスを推進してゆくためには、ヘルスケア領域の特性理解と日々変化する生成AI技術の動向把握が重要である。今回、ドメインエキスパートとしてヘルスケア領域の深い知見を有する当社のヘルスケアチームが、日常的に生成AI技術の動向調査を行いながら、技術・ビジネスの両面での検討を推進したことがプロジェクトの成功要因の1つと考える。これらの検討を通して、実現可能性が高く、当該企業の保有技術や既存ビジネスとの親和性や市場性・収益性が期待できる生成AIビジネスの選定を行い、それを推進するためのヘルスケア領域に特化した生成AIモデルの開発の促進に貢献した。
AIを活用した創薬研究プロセスの加速化
AI導入を成功に導くためには、進め方における「やるべきこと」「避けるべきこと」を明確にすることが重要です。 現状の課題を解決しながら、競争優位性の獲得を目指した、データやデジタル技術を活用した施策について解説します。また、研究者向けのAI学習方法とその効果についても紹介します。
AIを活用した創薬研究プロセスの加速化
CMC製法開発のスピードと品質の向上に向けて、現状の主な課題、その根本原因の仮説、およびデータとAI技術を活用したソリューションの可能性について解説します。 さらに、プロセス開発や連続生産における2つのAI活用事例や、規制当局の最新動向にも触れ、技術導入と規制対応の両立についても紹介します。
AIを活用した創薬研究プロセスの加速化
探索研究プロセスの主な課題と、その課題が発生する原因仮説を構造化して解説します。そして、課題の解決に向けたデータとAI技術を活用した7つの最新事例についても紹介します。
AIを活用した創薬研究プロセスの加速化
AI技術は、創薬研究プロセスの付加価値の最大化、投下資本の適正化、およびリスク管理の強化への貢献が期待されています。 1章では、製薬企業におけるAI技術への投資動向が活発化している背景とその実態について解説します。
~企業内の最後の暗黒大陸、調達購買業務の見える化を進める~
企業のDXが進むなか、調達購買業務のDX、なかでも購買取引に関するデータの収集・分析・活用は、ほとんどの企業ができていません。 なぜ調達購買業務のDXは進まないのでしょうか? 多くの企業の調達購買業務DXに関する現状と、共通する課題を掘り下げ、今後の調達購買業務DXの進め方について解説します。