事業グロース調査レポート
新規事業立ち上げ後の「事業グロース」に携わったことのあるビジネスパーソン314名を対象とした実態調査を実施し、“失敗する事業グロースの特徴”を20のポイントとしてまとめました。 そして調査・分析結果に加え、事業グロースを成功に導くための要点を「フォーティエンスの提言」として解説します。

POINT 1
大手自動車機器メーカーでは、昨今の自動車業界を取り巻く環境変化を受け、モビリティカンパニーへの転換を目指してさまざまな取り組みを行ってきた。その一環として、デジタルタコグラフ(車両の速度、運行時間、走行距離などを記録するデジタル式の運行記録計)などから取得するプローブデータ(走行中の車からネットワークを通じて取得する位置、速度など走行履歴に関わるデータ)を活用してマネタイズ可能な事業を企画しようとしていた。しかし、思い付きベースのアイデア出しがメインとなってしまい体系的な検討ができず、事業化が見込める企画を見出せずにいた。また、事業企画にあたって必要な既存事業に関連する事業者以外のニーズを抽出することが困難であることも課題と感じていた。
そこで、フォーティエンスと協働してマネタイズの可能性を体系的・網羅的に整理し、客観的な情報に基づいて事業化が見込める有望なアイデアの創出を目指した。
POINT 2
幅広いターゲット候補の洗い出しとターゲットごとの課題抽出
まず、当該企業が保有するデータを把握するためにデータ項目の棚卸しを実施。ドライブレコーダーやデジタコなど、どの機器から何のデータを取得できているのかという情報に加え、機器ごとに設置台数やシェアを整理して取得できるデータのボリュームを可視化した。
次に、保有データを活用して新規事業の検討が可能なターゲットを探るため、「ステークホルダー」「競合」「マクロ環境」「利用者のジャーニー」の4つの観点からターゲット候補を洗い出した。
「ステークホルダー」の場合、当該企業にとってデータ取得元となるのはバリューチェーンの川下である既存顧客で、たとえばトラック輸送業者がそれにあたる。そこからトラック輸送業者にとって川上にあるトラックメーカーやドライバーが導出され、さらにそれぞれの川上にあるカーナビメーカー、地図製作業者が関連して出てくる。
また「利用者のジャーニー」の場合であれば、たとえばトラックドライバーに焦点をあててトラックを利用する際の行動を洗い出し、荷物を積む、運転する、休憩する、再度運転する、など一連のジャーニーを描いた。そのうえでそれぞれの行動をサポートする企業は誰なのかを明らかにすることで、倉庫や道路事業者、サービスエリアやコンビニなどがターゲットとして浮かんでくることになる。
このようにしてその他の観点でもターゲットとなりえるプレイヤーを網羅的に洗い出していき、約100のターゲット候補を設定した。
この約100のターゲット候補すべてについて主要な業務を調査し、そこからさらにそれぞれの企業が持つ課題を抽出。各企業がどのようなシーンでどのようなデータを必要としているか、何のデータがあればよりよくなるのか、などの論点で検討を重ね、課題を洗い出した。
データの価値を定義し、その活用シーンを探る
次に、当該企業の保有データを実際にどのようなシーンで活用できるかを具体的にイメージするため、「データによってわかること」を定義した。たとえば、「日時」「車両の位置」「車両の速度」「車間時間」のデータからは「渋滞が起きやすい場所」がわかる。このように、単純な個々のデータからは読み取れなくても、データが複数組み合わさることによってわかることを導出し、新たな価値として定義付けて一覧化していった。
続いて前段で整理したターゲット候補の課題と「データによってわかること」をマッピング。トラック輸送業者を例にとると、主要な業務の一つである輸送ルートの策定において「最短ルートを効率的に策定できていない」という課題があると想定される。その際に当該企業の保有するデータを組み合わせて「渋滞が起きやすい場所」「特定区間の所要時間」の情報を提供できれば、渋滞を回避して最も短い時間で輸送を可能にするルートを決定でき、課題解決につながると考えられる。
このように課題からデータの活用シーンを探り、200以上の事業アイデアを策定した。
その後、すべてのアイデアについて事業性や実現性の観点で評価し、事業化可能性の高いアイデアを選定。マネタイズ可能性や市場規模を分析し、追加投資額の算出なども実施したうえで、事業の概略企画書を作成してアイデアを事業として具体化していった。
以上のアプローチにより保有データを活用したマネタイズの可能性が体系的・網羅的に整理され、事業化が見込める有望なアイデアの具現化を実現。当該企業にとって新規事業創出への足掛かりとなった。
POINT 3
データマネタイゼーションにおけるアイデア抽出を目的とした独自のフレームワークを利用。保有データの整理、ロジカルなターゲット候補の洗い出し、データの価値の定義という重要ポイントを押さえたフレームワークに従ってプロジェクトを進行した。確立された手法のもと着実に推進したため、1.5か月という短期間で網羅的な整理・検討を行うことができた。
新規事業立ち上げ後の「事業グロース」に携わったことのあるビジネスパーソン314名を対象とした実態調査を実施し、“失敗する事業グロースの特徴”を20のポイントとしてまとめました。 そして調査・分析結果に加え、事業グロースを成功に導くための要点を「フォーティエンスの提言」として解説します。
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